「聖域は残されたということだ」 国土交通省幹部は吐き捨てた。 昨年十二月、政府・与党は整備新幹線で未着工だった三区間の新規着工を決め、二〇〇五年度予算案に八十億円を組み込んだ。北海道(新函館―新青森)、北陸(富山―金沢)、九州・長崎(諫早―武雄温泉=佐賀県)という三ルートに加えて、“落選”した福井県に配慮し、将来の新幹線乗り入れを前提とした福井駅の高架工事も盛り込んだが、この決定は「掟破り」の連続だった。綱渡りの財源、禁じ手の復活、将来に残した禍根――着工には地元への利益誘導を優先する政治家の欲望が示された。
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