中国とベトナムの国境。溢れるほどの荷物を積み込んだ大型トラックが、ベトナム側検問所で行列を作っている。検問所といっても、積荷のチェックはさほど厳しくなさそうだ。運転手は通行証らしき書類を見せ、挨拶をして通過していく。中越間の国境貿易は限りなく自由に行なわれているようだ。 こうしたトラックに混じって、小型や中型の観光バスが行儀よく並んでいるのに気づく。日本でよく目にする二階建ての観光バスほど大型ではない。その国境地帯は、「辺鄙な」という形容詞がピッタリだ。どうしてこんなところに観光バスが押し寄せているのかと、素朴な疑問を抱いた。疑問が素朴であればあるほど、その答えを知らないままベトナムを後にしたりできない性分だ。予定を変更し、中国人を満載した観光バスのあとを追ってみることにした。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン