その周りだけ違う時間が流れているんじゃないか、と思わせる選手がいる。その選手だけが1秒先の未来に生きていて、1秒先のボールの行方を見ている。だから、一足先に相手のパスをカットできたり、相手の虚を衝くパスを出すことができる。
例えば、澤穂希。2011年の女子ワールドカップ優勝は、澤がそれまでのトップ下のポジションからボランチにコンバートされたことから始まった。佐々木則夫監督は、澤の「ボールを奪うという才能」「嗅覚の鋭さ」を買ってボランチに起用することで、やがて世界の女子サッカー界の価値観を揺るがす新しいパスサッカーを実現させることができた。

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