先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に続く、世界銀行・国際通貨基金(IMF)総会。世界のバンカーがワシントンに集結する年中行事である。 その最中の九月二十四日、イタリア銀行のアントニオ・ファツィオ総裁が突然、専用機で帰国してしまった。総裁は、二日前に就任したばかりのジュリオ・トレモンティ経済財務相に、世銀・IMF総会への代表権限を剥奪されたからである。 中央銀行総裁が国際会議開催中に急ぎ帰国するという前代未聞の事態の舞台裏では、イタリア検察当局がある重要な捜査を進め、ファツィオ総裁への辞任圧力が高まっていた。

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