三百六十四万六千件。二〇〇三年の刑法犯認知件数である。実に一日に一万件の犯罪が発生したことになる。二十年足らずで約百五十二万件増加し、日本の治安悪化は明白である。一方、ここ数年被害者への社会的関心が高まり、犯罪被害者等基本法(〇四年)など関連法が次々に制定された。支援で欧米に二十年以上遅れていた日本が急ぎ足でその溝を埋めつつある。 法案成立には、自らが体験した理不尽極まる状況を訴えてきた被害者の声と、いまや誰もが被害者になりうるという世論が背景にある。そして、世論が治安悪化を感じるのは、それを象徴する事件が発生した時だ。
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