大日本帝国の敗戦と、その30年後のベトナム共和国(いわゆる南ベトナム)の敗戦。私は敗戦を2度見た。共に我が人生を覚醒させる出来事だった。
侵略戦争だったと今は言うが、校旗を先頭に神社へ南京陥落の参拝に行った小学2年の私は、子供心にも「これで終わった」と思った。出征している叔父さんも帰って来るだろう。
だが日本の偉い人々は戦争を続け、それがアメリカとの戦争になり、国民は焼夷弾や原爆を浴びて1度目の敗戦が来た。
2度目。私は米海兵隊ヘリから海を埋めて沖へ逃げる小舟の大群を見た。ボートピープルだった。負けるって、これか。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン