政治家や専門家が繰り返す「賛否を問う、あるいはケーススタディ」のための集団的自衛権容認に関わる議論には焦点が見えない。国の武力行使は、国の安全保障にとって重大な「覚悟」であって、「理念や信念」にも言及されなくてはならない。当然、「国の防衛・安全保障戦略における軍事力行使の位置付け」が変わるはずだが、議論の俎上には無い。また武力衝突のエスカレーションや犠牲の発生など「集団的自衛権容認がもたらす軍事的現象」の整理は行われていない。

 しかも集団的自衛権の容認は、国際社会において必然ではあるが「今急ぎ決心しなければならない理由は何か」「戦争との距離を縮めることで国の安全保障が損なわれないか」などの議論を尽くし、「国民の理解やコンセンサスを得なければならない」重大事である。

カテゴリ: 軍事・防衛
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