「幻の論文」がついに単行本となった。沢木耕太郎著『危機の宰相』である。原型となる二百枚の論文は「文藝春秋」の一九七七年七月号に掲載された。雑誌掲載―単行本化―文庫化―著作集入りが通例のコースだが、この作品は単行本化されることなく、二〇〇二年に刊行開始の著作集「沢木耕太郎ノンフィクション」に決定稿として入り、今回、さらに加筆して単行本とした。 実に当初の雑誌論文から三十年近くを経ての単行本化という異例のプロセスである。雑誌掲載の時点では「池田政治と福田政治」というサブタイトルがつけられていたが、これは福田政権下という事情による。本著の主題は池田政権とその時代的意味についてである。
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