恥をかかされても煮え切らないロシアの対北政策

執筆者:名越健郎 2006年8月号
エリア: ヨーロッパ アジア

[モスクワ発]北朝鮮のテポドンなど弾道ミサイル七連発に、ロシアのプーチン政権は内心激怒したはずだ。七月十五日からのサンクトペテルブルク・サミット(主要国首脳会議)を前に難題を突きつけられた上、ロシアの自制要請を無視し、よりによってロシア近海に落下させたからだ。 政権に近い政治学者のグレブ・パブロフスキー氏は「金正日労働党総書記には、もうロシアの鉄道旅行はさせない。一定の制裁が必要だ」と述べた。ロシア外務省の非難声明も、従来にない厳しい内容だった。極東では北朝鮮への反発が広がっており、世論を外交に反映させないプーチン政権も、次第に対北政策を変えざるを得ないだろう。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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