「未成年移民大量流入」でも移民法「年内改正」は絶望的

執筆者:足立正彦 2014年7月17日
エリア: 北米

 2012年大統領選挙でのバラク・オバマ大統領の再選を受けて、2013年1月に招集された第113議会で成立が最も期待された法案の1つは包括的移民法改正法案であった。2012年共和党大統領候補であったミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事は同党の大統領候補指名獲得争いの中で保守派有権者の支持を獲得するために、不法移民に対してはニュート・ギングリッチ元下院議長やリック・ペリー・テキサス州知事といった他候補よりもより厳しい姿勢を鮮明にしていた。その結果、ロムニー氏はフロリダ、ニューメキシコ、コロラド、ネヴァダといったヒスパニック系有権者が多数居住している「接戦州」でオバマ大統領に次々と敗北するとともに、ヒスパニック系有権者全体のわずか27%の票しか獲得することができず、共和党とヒスパニック系有権者との関係悪化を改めて露呈する結果となった。そのため第113議会では、共和党の中からもヒスパニック系有権者との関係改善を求めて、包括的移民法改正法案の成立に真剣に取り組む動きが顕在化してくるのではと筆者も期待を寄せていた。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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