四十年という歳月は、長いようで短い。私はそう痛感したことがある。一九八一年の十二月、ハワイまで「パールハーバーから四十年」を取材に行ったときである。インタビューした人々は、四十年の昔を、きのうのことのように憶えていた。 日本の雷撃機が一列になって真珠湾に突っ込む空域に、たまたま飛行機操縦仮免許の父親と一緒に、セスナに乗って居合わせた少年がいた。第一報を聞いて真珠湾へ駆けつけた地元紙の社会部長。戦艦オクラホマの士官室でネクタイを締めていた海軍少尉。ドック入りした重巡洋艦から一部始終を見守った水兵。真珠湾内を浚渫作業中だった日系二世等々がいた。

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