サミットはプーチンのために

 ロシアが初めて主催したサンクトペテルブルク・サミット(主要国首脳会議)は、「プーチンのプーチンによるプーチンのためのサミット」だった。 プーチン大統領は毎日の日程終了後、記者会見に臨むハッスルぶり。紅一点のメルケル独首相の誕生日にはプレゼントを贈る気配りを見せた。晩餐会で小泉首相とブッシュ米大統領がダンスを踊ると、「さすが同盟国」と冷やかすなどジョークも冴えた。 ブッシュ大統領が「イラクでは自由なプレスも宗教の自由もある。ロシアでも同じことが起きるのを望む」と述べると、「イラクのような民主主義は必要ない」と切り返した。一部世論調査では、サミット後大統領の支持率は80%に跳ね上がった。

カテゴリ:
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top