十年前にコロラドで「美貌の六歳」を殺した犯人が、いまごろバンコクで捕まるなんてまさかと、まず疑った。だがコロラドからのAP電によると、故ジョンベネちゃんの父親はテレビに出て「ほっとしました」と語ったという。殺された娘の親なら、警察から何か確実な連絡を受けているだろう。やっぱり真犯人かなあと、私は半信半疑の状態になった。 結局、最初に疑ったのが正しかったようである。身柄をタイから米国に移送された容疑者ジョン・マーク・カー(四一)は、固いアリバイの証言があるし、だいいちコロラド州ボールダーに住んでいたラムジー家とは縁もゆかりもない、面識すらない男である。話にならない。

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