饗宴外交の舞台裏 (110)

安倍首相をもてなしたベルギーの“実質メニュー”

執筆者:西川恵 2007年3月号
エリア: ヨーロッパ

 安倍晋三首相は一月九日から十三日まで英、独、ベルギー、フランスを歴訪したが、最大のポイントはこれまで日本にとってさほど大きな位置を占めていなかったベルギーだった。欧州に日本外交の新たな支点を作る上で、ベルギーは要である。 ベルギーの首都ブリュッセルは欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)の本部を抱える。加えて同国は、今年から国連安全保障理事会の非常任理事国である。要となるベルギーを押さえ、英、独、仏の主要三カ国に個別にアプローチする。これが欧州歴訪の狙いだった。 実際、十一、十二の両日滞在したブリュッセルで、安倍首相は超多忙な日程をこなした。十一日午前、ベルリンから政府専用機でブリュッセルに到着した首相は、まずEU本部でバローゾ欧州委員会委員長と会談。夕方は迎賓館「エグモン宮」でベルギーのフェルホフスタット首相と会談した後、同首相主催の夕食会に臨んだ。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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