ニューヨーク(NY)のオペラ、コンサートなどの観客数は、二〇〇一年九月十一日直後、激減したという。明日、どんな運命が待っているかわからない、という恐怖心が、人々の行動パターンを変えてしまったようだ。私たちの周囲でも、敏腕アーティストマネージャーとして知られていた女性が、まだ小さい子供のそばにできるだけ居てあげたいと、仕事を辞めた。 何よりも家族との時間を優先したいというのは、テロ直後の、多くのニューヨーカーの共通した心理だったようだ。子供をベビーシッターに預け、夫婦で大人同士の時間を食事やコンサート、オペラで過ごしていた比較的余裕のある層が、夜の外出を止めてしまった。

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