「金融政策」を無視した日銀総裁人事の不毛

執筆者:高橋洋一 2008年5月号
タグ: 日銀 総裁 日本
エリア: アジア

与野党と「財務省一家」が入り乱れ、“天下り攻防戦”にしか見えなかった不毛の人事劇。「漁父の利」を得たのは――。  総理の仕事は二つしかない。解散と人事である。衆議院を解散すれば、与党で三分の二を確保できないのは確実であるから、解散はむずかしい。となると、残りは人事だ。福田康夫総理の場合、もちろん内閣改造で人事一新という手は残っているが、閣僚でない日銀人事などでは衆・参両院の同意が必要であり、ねじれ国会では思い通り行かない。これほど人事パワーが縛られた総理はこれまでいない。そして、三月中旬に日銀人事でつまずき、戦後初めて日銀総裁不在という異常事態を招いてしまった。四月になって、ようやく副総裁から格上げされて白川方明総裁が誕生し、日銀新体制がスタートした。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
高橋洋一(たかはしよういち) 1955年東京都生れ。東京大学理学部数学科、経済学部卒。80年大蔵省(現財務省)入省。小泉・安倍内閣で竹中平蔵大臣補佐官、内閣参事官として郵政民営化、特別会計改革、公務員制度改革などに関わる。2008年に退官。09年政策コンサルティング会社「政策工房」設立。『恐慌は日本の大チャンス』(講談社)、『さらば財務省!』(同、山本七平賞)など著書多数。著書に『官僚のレトリック』(新潮社)がある。
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