与野党と「財務省一家」が入り乱れ、“天下り攻防戦”にしか見えなかった不毛の人事劇。「漁父の利」を得たのは――。 総理の仕事は二つしかない。解散と人事である。衆議院を解散すれば、与党で三分の二を確保できないのは確実であるから、解散はむずかしい。となると、残りは人事だ。福田康夫総理の場合、もちろん内閣改造で人事一新という手は残っているが、閣僚でない日銀人事などでは衆・参両院の同意が必要であり、ねじれ国会では思い通り行かない。これほど人事パワーが縛られた総理はこれまでいない。そして、三月中旬に日銀人事でつまずき、戦後初めて日銀総裁不在という異常事態を招いてしまった。四月になって、ようやく副総裁から格上げされて白川方明総裁が誕生し、日銀新体制がスタートした。
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