湾岸諸国「親日度」の相違とドバイの突進

執筆者:畑中美樹 2008年6月号
エリア: 中東

砂漠の昼と夜よりも「温度差」の大きい七カ国の対日スタンス。そして注目は、ドバイの観光立国の行方だ。 アラビア(ペルシア)湾に巨大なヤシの木が浮かんでいる。ドバイ首長国が作った人工リゾート島「パーム・ジュメイラ」。ドバイはアラブ首長国連邦(UAE)を構成する七つの首長国のひとつで面積は埼玉県程度にすぎない。もともとの海岸線の長さは四十キロメートルだったが、ヤシの木をかたどった巨大な人工島を作ることで百二十キロもの新たな海岸線を手に入れた。 この巨大ヤシの上で、今年十二月の開業を目指し、全長五・四キロに四つの駅を配した無人モノレールの建設が進められている。主契約者は丸紅。下請けには、土木・建築工事=大林組とオリエンタル建設のジョイントベンチャー(共同企業体)、車両やその運行管理など=日立製作所、料金自動徴収システム=オムロンといった日本企業が連なる。ドバイ政府はモノレールを観光客の移動手段のみならず島内のシンボルにしようとの考え。高級リゾート地に見合った高級感と安全性が求められる事業で、日本勢が受注を勝ち取ったのだ。

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執筆者プロフィール
畑中美樹(はたなかみき) 1950年東京都生れ。慶應義塾大学経済学部卒業。富士銀行、中東経済研究所、国際経済研究所、国際開発センター エネルギー・環境室長などを経て現職。中東・北アフリカ地域で豊富な人的ネットワークを有する。著書に『石油地政学――中東とアメリカ』(中公新書ラクレ)、『オイルマネー』(講談社現代新書)、『中東湾岸ビジネス最新事情』(同友館)などがある。
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