アジアで3回目、社会主義国で2回目の夏季五輪となった北京五輪は、中国の異質性を印象付ける大会だった。 開会式の花火のCG(コンピューター・グラフィックス)化や少女独唱の“口パク”はまだしも、中国の56民族を代表し、民族衣装を着て行進した子供たちの大半が漢民族だった事実は、チベットやウイグルの民族弾圧に蓋をした形だ。歴史と文明を誇示した延々4時間の開会式と合わせ、「大中華思想」丸出しだった。社会主義色や中国現代史が皆無だった点も興味深い。 取材制限や記者への暴行もあったが、暴動やデモが最小限だったのは、人海戦術で徹底鎮圧したためだろう。日本側が憂慮していた反日騒ぎは、中国政府が命じた「文明的観戦」で抑えられたようだ。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン