インテリジェンス・ナウ

廃棄された数千件のファイル「核の闇市場」捜査の幕引きが進む

執筆者:春名幹男 2009年3月号
エリア: 北米 アジア

「核の闇市場」のネットワークで世界に核技術を拡散したパキスタンの「核兵器の父」A. Q. カーン博士(七二)が、このほどイスラマバード高裁の決定で自宅軟禁を解かれた。 実はこの事件をめぐっては、昨年末にも、核の闇市場に関する情報を米中央情報局(CIA)に通報したスイス人技術者、ウルス・ティナー容疑者(四三)が処分保留のままスイス捜査当局から釈放されている。 カーン博士が突然パキスタン国営テレビで「外国への核技術拡散」を告白して以来、ちょうど五年。イランや北朝鮮などにまでウラン濃縮技術を供給したこの事件も幕引きか、と思わせる動きが続いているのだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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