単なる美談ではなかった「派遣千人の正社員化」

執筆者:安西巧 2009年8月号
タグ: 中国 日本
エリア: アジア

景気が冷え込む中、「派遣社員千人を正社員化」した段ボール最大手のレンゴー。一見「世間の逆を行く」美談に思えるがそうではない。「従業員の格差解消」を理念とする、経営者の合理的な戦略なのだ。 関西生産性本部といえば、知る人ぞ知る在阪の財界団体だが、存在感では関西経済連合会や大阪商工会議所の後塵を拝している。昨今は会見や懇談会での記者の集まりを関係者が心配するほどなのだが、今年一月十九日の記者懇談会では珍しく“全国版”のニュースが飛び出した。 段ボール最大手レンゴーが派遣社員千人を四月から正社員として採用すると全国紙やNHK、地方紙までが一斉に報じたのだ。懇談会でこれを発表したのは同本部会長を務めるレンゴー社長の大坪清(七〇)である。

カテゴリ: 社会 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top