選挙活動で民主、自民両党とも、政策は置き去り。相次いで出版された「農政の良書」を片手に、進むべき道を整理してみよう。「組合員にはできるだけ読ませないように」。今年の早春、農協(JA)のヘッド・クオーターである全国農業協同組合中央会(全中)が、ある書籍を「禁書」に指定した。一月に出版された『農協の大罪』(宝島社新書)である。著者の山下一仁・経済産業研究所上席研究員は、二〇〇八年に農林水産省を退官したばかり。農政の裏側を知りつくしているだけに、同書で農水官僚、JA、自民党農林族のもたれあい、すなわち「農政トライアングル」の内実を鋭く批判し、とりわけその矛先は、農家に割高な肥料・農薬・資材を売り付けるなど、農業の強化につながらない組織の利益を最優先するJAに向けられた。
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