「トーゴ選手団襲撃」で見えたアンゴラの“歪み”

執筆者:白戸圭一 2010年3月号
タグ: フランス 日本
エリア: アフリカ

 アフリカ南部アンゴラの各地で一月十日に開幕したサッカーアフリカ選手権。開幕二日前の八日、会場の一つである同国のカビンダ州で、大会に出場予定のトーゴ選手団のバスが銃撃され、コーチら二人が死亡する事件があった。選手団を帰国させたトーゴ政府に対し、アフリカサッカー連盟は「スポーツへの政治介入」として、次回と次々回の同選手権へのトーゴの出場停止を決定。トーゴ側は処分を不服とし、法廷で争う構えだ。 地図を見ると、カビンダ州がアンゴラの「飛び地」であることが分かる。静岡県程度の広さの土地に約三十五万八千人(二〇〇六年推定)が暮らす同州がアンゴラ本土から孤立してしまったのは、欧州列強が勝手な国境線を引いた植民地争奪戦の名残だ。

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執筆者プロフィール
白戸圭一(しらとけいいち) 立命館大学国際関係学部教授。1970年生れ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社の外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務した後、三井物産戦略研究所を経て2018年4月より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員を兼任。
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