オバマ政権の命運を決する米中間選挙のメカニズム

執筆者:渡辺将人 2010年9月1日
エリア: 北米
選挙結果が今後の政策を左右する (c)EPA=時事
選挙結果が今後の政策を左右する (c)EPA=時事

 アメリカ中間選挙(11月2日)が2カ月後に迫った。中間選挙では連邦議会の下院の全議席(435議席)と上院100議席の約3分の1(今回は37議席)が改選される。  大統領選挙に比べると中間選挙は地味な印象が拭えない。しかし、法案の実現に議会が絶大な力を持つアメリカでは、中間選挙で大統領側の政党が多数派を維持できるかどうかは、政権運営にとって死活問題である。  1994年の中間選挙で民主党が大敗した際、クリントン政権は野心的な政策を諦め、大幅な中道化を余儀無くされている。2006年の中間選挙では共和党が敗北してブッシュ政権が機能不全に陥り、急速にレームダック化したことは記憶に新しい。  現オバマ政権は上下両院で民主党が多数派を握るという好条件にある。しかし、中間選挙で共和党と民主党の議席の逆転が起きれば、オバマ政権の望む法案は実現が難しくなる。まさにオバマ政権の命運を決める選挙なのだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
渡辺将人(わたなべまさひと) 北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院准教授。1975年生まれ。シカゴ大学大学院国際関係論修士課程修了。早稲田大学大学院政治学研究科にて博士(政治学)取得。1999年米連邦下院議員事務所、2000年米大統領選上院選NY州合同民主党選挙本部。2001年テレビ東京入社、報道局経済部記者(WBS)、政治部記者(官邸、外務省、国会、防衛省、北京支局)。コロンビア大学、ジョージワシントン大学、台湾国立政治大学、ハーバード大学にて客員研究員を歴任。2010年より現職。専門はアメリカ政治外交。主著に『現代アメリカ選挙の変貌』(大平正芳記念賞)、『大統領の条件』、共著に『オバマ・アメリカ・世界』(久保文明・中山俊宏)、『バイデンのアメリカ』(佐橋亮・鈴木一人)など多数。
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