コンゴ東部紛争での性暴力

執筆者:白戸圭一 2010年9月10日
タグ: 日本
エリア: アフリカ

 コンゴ民主共和国に展開する国連平和維持活動「国連コンゴ安定化派遣団(MONUSCO)」が、同国東部の北キブ州で起きた武装勢力による集団レイプ事件を防げなかったことに対して批判が集まっている。

 まず、事件の概要を記しておきたい。
現地で人道支援活動を続ける米国の医療支援団体「インターナショナル・メディカル・コープス」がAFP通信に明らかにしたところによると、集団レイプは7月30日から8月3日にかけて、北キブ州のルブンギ村とその周辺の複数の村で発生し、少なくとも242人の女性がレイプされ、医療施設に運ばれたという。
同団体によると、同国東部を活動拠点にしているフツ人反政府勢力、ルワンダ解放民主軍(FDLR)と地元民兵組織マイマイの犯行だというが、FDLRは関与を否定している。FDLRは隣国ルワンダで1994年に発生したルワンダ大虐殺の加害者側の軍人たちが報復を恐れてコンゴに逃亡し、コンゴ政府の事実上の庇護の下で組織した武装勢力である。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
白戸圭一(しらとけいいち) 立命館大学国際関係学部教授。1970年生れ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社の外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務した後、三井物産戦略研究所を経て2018年4月より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員を兼任。
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