インテリジェンス・ナウ

米国が開発を目指す驚異の超小型スパイ装置

執筆者:春名幹男 2000年2月号
エリア: 北米

「涙のしずくほどのサイズで、最速のスーパーコンピューターのパワーを持った分子コンピューター」

 クリントン米大統領が一月二十七日、任期最後の一般教書演説で、そんな驚異的なコンピューターの開発のため、政府研究開発費を増額する、と明らかにしたので驚いた。

 政府支出のハイテク研究開発を正当化するのも大統領の目的であり、割り引いて受けとめる必要がある。だが、その野心的なコンセプトは注目に値する。

 奇しくもほぼ同時となった小渕恵三首相の施政方針演説が、借り物の空疎な言葉で満ちていたのとは対照的だった。日本の新聞が「分子コンピューター」のことを一行も伝えなかったのもやや気になった。

カテゴリ: 政治 IT・メディア
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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