旧ユーゴスラビアのクロアチアやボスニアで、セルビア人私兵集団を率い、「民族浄化」のため虐殺を繰り広げてきた暴力組織「トラ」のボス、「アルカン」ことジェリコ・ラズニャトビッチが、一月中旬、ベオグラードのホテルで暗殺された。
この男の殺害を巡っては、セルビアの悪行を知り抜いた男を消すためにミロシェビッチ・ユーゴ大統領が直接指令したとの政府陰謀説から、マフィアの内部抗争説まで幅広い憶測が流れた。元警察官数人が逮捕されたが彼らを真犯人と信じる者はおらず「真相は永遠に出てこないだろう」との見方が有力だった。しかし、最近になって米CIAとコソボ解放軍(KLA=昨年解散)の“共同作戦”説が急浮上している。

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