【焦点の人】ハンス・アイヒェル(ドイツ蔵相) 五年越しの税制改革を成し遂げた「好運の政治家」

執筆者:梅本逸郎 2000年8月号
エリア: ヨーロッパ

 統一後のブームまで名実ともに「欧州経済の機関車」だったドイツが、成長率で欧州連合(EU)平均を下回る「お荷物」に成り下がって久しい。しかし、昨年夏からのユーロ安を追い風に受けた輸出主導の景気回復に加え、一向に手がつけられなかった税、福祉の高負担にメスが入り始め、立ち直りの兆しが見え始めた。特に、ハンス・アイヒェル蔵相(五八)が七月に成立させた税制改革は、コール政権以来五年越しという時間がかかったものの、「戦後最大」が単に売り文句で終わらないだけの内容を伴っている。 二〇〇一―〇五年実施の改革は、低所得者にももちろん減税の恩恵はあるものの、負担軽減の中心はずばり言って企業、それも保険、銀行などの大企業と高額所得者だ。ドイツの法人税は現在実効ベースで五〇%超と、世界では日本と並ぶ高水準だが、来年からは三八%に引き下げられ、「欧州内でも平均よりやや下」(独大蔵省)のレベルとなる。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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