インテリジェンス・ナウ

米大統領選の裏で繰り広げられる“秘密工作”

執筆者:春名幹男 2000年9月号
エリア: 北米

 ことし二月十九日、米サウスカロライナ州で行われた共和党大統領予備選挙は緊張感に包まれていた。 ジョン・マケイン上院議員はニューハンプシャー州で圧勝し、「マケイン現象」と呼ばれるほどの快進撃を続けていた。これに対して、本命のジョージ・W・ブッシュ・テキサス州知事が反撃、事前予想では両者はデッドヒートと伝えられていた。 だが、結果は全くの予想外だった。ブッシュ候補は五三%とマケイン候補に一一ポイントもの大差をつけて逆転勝利したのである。「戦いは始まったばかり」とマケイン氏は支持者離れを防ごうと必死に訴えた。だが、サウスカロライナ州が転機になって、マケイン陣営は崩れ、ブッシュ氏は翌月のスーパーテューズデーで勝利を確実にした。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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