「大変な騒ぎですよ。これでまた元に戻りましたね……夜も眠れません」 十月下旬、金沢の寺越友枝さんに北朝鮮から電話がかかった。受話器の向こうの声から落胆の様子がうかがえた。友枝さんにそう語ったのは、現在平壌で職業総同盟副委員長を務める息子の武志さん。武志さんは三十七年前、日本海で漁船に乗っていて行方不明になり、近年になって生存が確認された人だ。共同通信金沢支局はそんなニュースを伝えた。「大変な騒ぎ」というのは森喜朗首相がブレア英首相との会談で漏らした、日本人拉致疑惑をめぐる「第三国発見方式」問題のことだ。
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