小沢一郎は、『日本改造計画』を、かつて仲間の国会議員たちと科学技術視察で米国を訪れた際立ち寄ったグランド・キャニオンで見たある光景から書き始めている。〈国立公園の観光地で、多くの人々が訪れるにもかかわらず、転落を防ぐ柵が見当たらないのである。しかも、大きく突き出た岩の先端には若い男女がすわり、戯れている。私はあたりを見回してみた。注意をうながす人がいないばかりか、立札すら見当たらない〉 小沢は想像してみた。〈もし日本の観光地がこのような状態で、事故が起きたとしたら、どうなるだろうか。おそらく、その観光地の管理責任者は、新聞やテレビで轟々たる非難を浴びるだろう。(中略)だから日本の公園管理当局は、前もって、ありとあらゆる事故防止策を講ずる。いってみれば、行動規制である〉

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