一四年ぶりの再会だった。「僕、痩せたでしょう。一〇キロも減量したんだ」。たしかに往時は、ふっくらとした顔に黒縁の眼鏡をかけ、「お父さん」然としていたのだが、現在では研ぎ澄まされた老将の雰囲気を漂わせている。 公正取引委員会委員、本間忠良。といっても役人出身者ではない。かつては三菱電機のサラリーマンであり、現職に就くまでは千葉大学法経学部で教鞭をとっていた。カラーテレビを展示販売方式で一日に四億円分売ったりする凄腕営業マンでもあった三菱電機時代だが、そのほとんどは法務畑で過ごしてきた。本間が、日本企業の国際進出を陰から支えた「戦略法務の構築者」と呼ばれるゆえんだ。

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