「サムライ」 秋野豊『ユーラシアの世紀』

 ユーラシアの地肌が冷戦後、浮き出てきた。重くれて、脂ぎって、面妖な地肌である。 カシミールからパレスチナまで、民族、宗教、歴史、地政学、核兵器、石油・ガス、テロ、麻薬、難民……国際政治のクレージー・キルト。 そして、九・一一同時多発テロが起こった。ユーラシアのブラックホールとも言うべき破綻国家、アフガニスタンがテロリストたちの憎悪の司令塔と化した。 冷戦後、そのユーラシア・アナキーを、国際政治学者、秋野豊はたった一人で歩いて回った。ユーラシアが二十一世紀の国際政治の上でもっとも危うく、同時に新しい可能性を秘めている概念として立ち現れようとしていることを誰よりも鋭く予感し、その日本への意味合いを嗅ぎ取り、日本のユーラシア外交の輪郭をまさぐった。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
船橋洋一 アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長。1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒。1968年、朝日新聞社入社。朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007年から2010年12月まで朝日新聞社主筆。米ハーバード大学ニーメンフェロー(1975-76年)、米国際経済研究所客員研究員(1987年)、慶應義塾大学法学博士号取得(1992年)、米コロンビア大学ドナルド・キーン・フェロー(2003年)、米ブルッキングズ研究所特別招聘スカラー(2005-06年)。2013年まで国際危機グループ(ICG)執行理事を務め、現在は、英国際問題戦略研究所(IISS)Advisory Council、三極委員会(Trilateral Commission)のメンバーである。2011年9月に日本再建イニシアティブを設立し、2016年、世界の最も優れたアジア報道に対して与えられる米スタンフォード大アジア太平洋研究所(APARC)のショレンスタイン・ジャーナリズム賞を日本人として初めて受賞。近著に『フクシマ戦記 10年後の「カウントダウン・メルトダウン」』(文藝春秋)、『自由主義の危機: 国際秩序と日本』(共著/東洋経済新報社)、『地経学とは何か』(文春新書)、『カウントダウン・メルトダウン』(第44回大宅賞受賞作/文春文庫)など著書多数。
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