ユーラシアの地肌が冷戦後、浮き出てきた。重くれて、脂ぎって、面妖な地肌である。 カシミールからパレスチナまで、民族、宗教、歴史、地政学、核兵器、石油・ガス、テロ、麻薬、難民……国際政治のクレージー・キルト。 そして、九・一一同時多発テロが起こった。ユーラシアのブラックホールとも言うべき破綻国家、アフガニスタンがテロリストたちの憎悪の司令塔と化した。 冷戦後、そのユーラシア・アナキーを、国際政治学者、秋野豊はたった一人で歩いて回った。ユーラシアが二十一世紀の国際政治の上でもっとも危うく、同時に新しい可能性を秘めている概念として立ち現れようとしていることを誰よりも鋭く予感し、その日本への意味合いを嗅ぎ取り、日本のユーラシア外交の輪郭をまさぐった。
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