[ロンドン発]二月二日にバツラフ・ハベル大統領の退任を控えていたチェコ共和国議会は、一月末になってもまだ後継者選びに揺れていた。決選投票へ向けて候補者を絞り込むのに、なぜこれほどもめるのか。それはチェコ政治の複雑さゆえでもあるが、もっと深い意味を読みとることもできる――ハベルの代わりは、誰にも務まらないということだ。 ハベルは大統領としてのみならず、いくつもの顔を持っている。才能豊かな劇作家、反体制活動家、人権擁護活動家――。だが、多彩なプロフィールのみに目を奪われてはならない。チェコ共和国大統領として、ハベルは政治の世界に品格と人道主義をもたらした。それこそが彼の最大の功績である。
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