米本社を西海岸に移すソニーの戦略転換

執筆者:Foresight 2003年6月号

 ソニーはアメリカ本社をこの夏にも、同社にとって歴史的にも重要なニューヨークエリアから、西海岸に移転することになった。移転先はシリコンバレーのサンノゼ市。「ソニーの戦略に大きな変化が生じた」と波紋が広がっている。 現在の拠点は事実上のニューヨーク本社といわれてきた隣接のニュージャージー州にある。ニューヨーク地区は、ソニーが米国進出を果たし世界企業に発展する端緒となった地だ。出井伸之会長は日本と米国の二大本社制をとり、ニュージャージーにも日本人駐在員を含めて千人規模の従業員を擁している。 歴史的にも重要な拠点を西海岸に移転させる最大の理由はずばり、ソフト重視の戦略だ。「プレイステーション2やバイオをさらに進化させるソフト開発の人材を結集する」(ソニー関係者)といわれている。シリコンバレーはITバブル崩壊後も、インドや中国の優秀な研究者が豊富で、ここでキーになる人材を本格的に採用する方針だという。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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