春過ぎのこと、京都の悪友、徳力君が仕事帰りのエレベータ前でぽつりと、「そういえば今年の祇園祭りのお稚児さんに息子が選ばれたんや」という。ドアが閉まりそうなので慌てて、「ほいよ、見にいくね」とつい調子を合わせてしまった。悪い癖である。 このなんでも「ほいよ」と乗ってしまうのは子供のころからで、高校時代にはおだてられて「ほいよ」と生徒会長になり、制服自由化をした。本人は遊びのつもりだから、やるなら派手にと、新聞記者やカメラマンも呼んでストライキをしてみた。学校側からは制服自由化を認めると通告があったが、どうせやるならお祭りにしようと全生徒を体育館に集めて一日授業を受けなかった。

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