どう否定してみても、いや否定すればするほど怪しかった。インドネシアのジャカルタでの拉致被害者の曽我ひとみさん一家の劇的な対面シーンは、二日後の参院選のための演出だったのではないか、という疑いは消えない。小泉純一郎首相の指示で、北朝鮮側に土下座せんばかりに「お願い」した外務省の努力にもかかわらず、選挙の結果から見ればさほどの効果はなかった。あの再会劇がなければ、自民党はもっと惨敗していたのかもしれないが、結果は四十九議席で、「五十一議席確保」という大目的達成のためには、それほど役には立たなかった。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン