サウジアラビアはどこへ行くのか

執筆者:畑中美樹 2004年9月号
エリア: 中東

続発するアル・カイダによるテロが、サウジアラビアで革命の引き金を引くとの観測がある。だが、本当の試練は治安悪化以上に根深い。近代化への試行錯誤が続く「アラブの盟主」の実情は――。「喉が渇ききって砂漠にいる。行く手に何か輝くものが見えたと想像してほしい。水源ということもあるだろう。だが、もし光が蜃気楼だったなら、下手に動けば死んでしまう」 サウジアラビアのバンダル駐米大使は昨年、自国が近代化を進める姿勢をこんな比喩で表現してみせた。「我々は苦境に陥った時、まず立ち止まり、確信を得てからゆっくりと歩き始める。それがあなた方アメリカ人と違うところなのだ」

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執筆者プロフィール
畑中美樹(はたなかみき) 1950年東京都生れ。慶應義塾大学経済学部卒業。富士銀行、中東経済研究所、国際経済研究所、国際開発センター エネルギー・環境室長などを経て現職。中東・北アフリカ地域で豊富な人的ネットワークを有する。著書に『石油地政学――中東とアメリカ』(中公新書ラクレ)、『オイルマネー』(講談社現代新書)、『中東湾岸ビジネス最新事情』(同友館)などがある。
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