クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

親より貧しい世代

執筆者:徳岡孝夫 2011年12月13日
タグ: 日本 アメリカ

 暮から正月にかけ誰しもカネの出入りが増える季節に、また振り込め詐欺が増勢に転じているという。  最近のは手が込んでいて、先に電話して風邪を引いて声が変わったと親に知らせる。次に会社のカネを使い込んだと訴える。×日までに弁償しないと警察沙汰にされる。  何月何日何時に貰いに帰るからカネの用意をしておいてくれと頼むので、親は現金を封筒に入れ、用意して待っている。定刻、息子とは違う若い男が現われる。「ウチの子は?」「いま金策で走り回っているんです。おカネは、ぼくが取りあえず預かっておきます」。若い男は封筒を持って去り、振り込め詐欺は完了する。

カテゴリ: 社会 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
徳岡孝夫(とくおかたかお) 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top