【インタビュー】リュック・ジャケ(映画監督) 皇帝ペンギンの美しき苦行

執筆者:草生亜紀子 2005年7月号
タグ: フランス

 皇帝ペンギンの子育ては壮絶だ。冬の始まりの三月のある日、海からあがって南極の氷原に立ったペンギンたちは、隊列を組んで百キロ先の営巣地を目指す。二十日あまりの行進のはて、オスとメスは何千羽の群れの中からパートナーを選び出す。 五月、メスはたったひとつ産み落とした卵をオスに託し、餌を採りに海へと戻る。体重を五分の一も落とし、産卵で疲労困憊した体を引きずって、ヒナと自分のためにまた百キロの道のりを戻るのだ。メスが戻るまでの間、オスは絶食して卵を暖める。七月、ヒナが孵っても母親が戻ってこない時、胃の中に残しておいた食べ物をもどしてヒナに与え、小さな命をつなぐ。

カテゴリ: カルチャー
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
草生亜紀子(くさおいあきこ) 翻訳・文筆業。NGO職員。産経新聞、The Japan Times記者を経て、新潮社入社。『フォーサイト』『考える人』編集部などを経て、現職。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top