近年、国際論壇に巨大なインパクトを与えた米国人の欧州論といえば、ロバート・ケーガンの『楽園と力について』(邦題・ネオコンの論理)が真っ先に思い浮かぶ。ケーガンは、米国がホッブズ的「万人の万人に対する戦い」に身を投じ、覇権への道を切り拓いているのと対照的に、統合欧州は歴史の終わりに出現するカント的永世平和の自己完結的世界に安住しようとしており、欧州はもはや米国のパートナーではないと喝破したのである。『ネオコンの論理』は二年前、イラク戦争を開始したブッシュ政権が内包する独特の世界観を啓示したものとして読む者に戦慄を覚えさせた。
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