ベネズエラのチャベス前大統領の死去から3月5日で1年がたった。政権を引き継いだマドゥロ大統領は、加速する経済の混乱と治安の悪化、反政府勢力との暴力的対立が激しさを増す中で、4月に就任1周年を迎えようとしている。
2月12日の学生による抗議行動に端を発した反政府勢力と政権側の対立は、すでに犠牲者が20人を超す深刻な事態に至っており、治安当局や政府系の武装組織「コレクティボ」による反政府デモへの攻撃など暴力の拡大、反対派指導者の逮捕、言論の封殺、人権侵害の拡大に懸念が広がっている。
政権と反政府の分極化は、すでに国内からの話し合い解決の余地を残さないほど深まっているが、国際社会の反応も鈍い。マドゥロ政権は、ウクライナ情勢に世界の関心が向けられることで援けられた感がある。ベネズエラ出身の国際コラムニスト、モイセス・ナイムが米アトランティック誌上で嘆いているように、ウクライナ情勢と比べベネズエラ危機の国際的波及力が弱いだけに、「ベネズエラの悲劇」はなお深刻であるとも言えよう。明らかにベネズエラの反体制派は国際社会から見捨てられている【リンク】。
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