分れ目は二〇〇三年だった。改革を断行したANA、「JAS統合」で安心したJAL。いま、その差は“無限大”に――。 日本航空(JAL)がまた株主を怒らせてしまった。二〇〇六年三月期の有価証券報告書の中で、同社が今春、発表した中期経営計画(中計)の数値目標を撤回したからだ。 中計では例えば〇九年三月期の株主資本利益率(ROE)は六・五%などと年度ごとに利益目標が明示されていたが、それらが「中長期的なROEの向上」というような抽象的表現に改められた。海外での訴訟リスクを回避するためだという。「計画達成は最初から無理だと分かっていた」。市場には冷ややかな見方も多いが、では日本ならリスクのある数字を掲げて増資をしてもかまわないのか、と株主が怒るのも当然だ。
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