米国にとっての「ウクライナ問題」(上)「大戦後最も深刻な国境線変更」

 最近は「イラクとシリアのイスラム国」(Islamic State of Iraq and Syria: ISIS) の攻勢やエボラ熱の感染拡大といったニュースに押されて、あまり人々の注目を集めなくなっているが、今年前半の国際政治の重大ニュースといえば、ロシアのクリミア併合であった。「新冷戦か?」という問いに対して、米国でも活発な議論が戦わされてきた。

 筆者が所属するサザンメソジスト大学タワーセンター政治学研究所でも、この問題の地政学的意味を議論してきた。その一環として10月8日に、ロシア・ウクライナ問題の専門家で、ワシントンを拠点に世界の民主主義と政治的自由を監視している非政府機関フリーダムハウスの所長を務めるデビッド・クレーマー氏を迎えて、「新冷戦? ロシア、米国とウクライナの意味」(A New Cold War? Russia, the U.S., and the Meaning of Ukraine)と題したシンポジウムが行われ、氏にインタビューをする機会を得た。クレーマー氏の講演及び筆者の氏へのインタビューを踏まえて、「ウクライナ」、「ロシア」を米国の地政学戦略にどう位置づけるかという問題について2回にわたって論じてみたい。

カテゴリ: 軍事・防衛
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