5月20日、台湾の総統に、白いスーツ姿の蔡英文・民進党主席が就任した。総統としての正式名称は「中華民国第14代総統」である。台湾を国として報じられない日本の新聞・テレビでは紹介されることのない名称だが、その就任式典は、紛れもなく「中華民国」の儀式であり、ネットの中継を眺めていて興味深い点がいくつもあった。
継承された「2つの国璽」
3時間にわたって生中継された就任式典のなかで、特に私が目を引かれたのが、孫文の肖像と中華民国国旗に向けて宣誓文を読み上げた後、蔡英文が中華民国の「国璽(こくじ=国家の印章)」を受け取るところだった。国民党の馬英九総統が「前総統」と呼ばれたのは、この国璽を蔡英文が受け取って式典を終えてからだった。
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