韓国「文在寅政権」誕生(5)外交安保政策を支える2人の大物「特別補佐官」

執筆者:平井久志 2017年6月2日
エリア: アジア
大物補佐官の1人、洪錫炫・中央日報前会長 (c)EPA=時事

 

 文在寅(ムン・ジェイン)政権の外交安保ラインに起用された鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長、李尙澈(イ・サンチョル)同室第1次長、金基正(キム・ギジョン)同室第2次長、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官という顔ぶれを見ると、対北朝鮮外交では明らかに対話重視の顔ぶれだ。ただ、軍事部門の南北対話に関わってきた李尙澈第1次長がいるものの、核・ミサイルを振り回しながら無理難題を押し付けてくる北朝鮮や、利害の対立する周辺大国を相手に文在寅政権の外交安保を担うには、経験不足、力量不足を感じる。統一部長官が誰になるかにもよるが、鄭義溶室長は外交官出身だけに、通商分野や多国間外交などの担当は長いものの、安保分野の経験は少ない。これは人権問題や国連外交に従事してきた康京和外交部長官にも同じことが言える。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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