マネーの魔術史 (9)

「大陸紙幣」の不思議なデザイン

執筆者:野口悠紀雄 2017年7月27日
エリア: 北米 ヨーロッパ
(C)AFP=時事

 

 アメリカ独立戦争(1775~83年)が始まると、軍費をまかなうために紙幣の発行が必要になった。13植民地が結成した大陸会議(Continental Congress:当時のアメリカ議会)が発行した紙幣は、Continental(大陸紙幣)と呼ばれた。

 この紙幣は、名刺ほどの大きさで、ツタなどの植物繊維を原料として雲母をすき込んだ紙に、凸版印刷が施されていた。裏面の葉の模様は、ベンジャミン・フランクリンが発明した偽造防止法で、自然の葉脈の複雑さを利用したものと言われる。この分厚い紙幣を、イギリス人は、「反逆者たちのダンボール紙幣(the pasteboard currency of the rebels)」と呼んだ。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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