医療崩壊 (4)

「ガバナンス」崩壊の「国立大学」に必要な「公正」と「自立」

執筆者:上昌広 2017年9月15日
エリア: アジア
8月1日、論文不正の内部調査結果について記者会見する東京大学。内容は到底納得できるものではなかった(光石衛副学長=右=ら) (C)時事

 

 2015年6月、東京工科大学の教員が研究室内で首つり自殺した。このことを『FACTA』9月号が報じた。

 私は、この事件は、我が国の大学が抱える構造的な問題を象徴していると考えている。本稿では、これまでメディアがあまり取り上げてこなかった、この問題について論じたい。

再雇用の撤回

 自殺した教員はメディア学部の特任講師だ。2012年10月、就職指導を担当する教員として採用された。任期は3年間だ。

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執筆者プロフィール
上昌広(かみまさひろ) 特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 』(朝日新聞出版)など著書多数。
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