「みのり」は中国に取られた安倍「ラオス」外交の失策

今年6月の日・ラオス首脳会談でシースリット首相と親交を深めた安倍総理(官邸HPより)

 

 7月23日、ラオス南東部のアッタプー県で建設中のダムが決壊した。韓国の大手財閥「SKグループ」傘下の「SK建設」を柱とする合弁企業体(「韓国西部発電」、タイ政府系「ラチャブリ電力」、ラオス国営企業が参加)によって建設が進められていたのだが、流れ出た大量の水が周辺集落を襲い、6000人以上の住民が家を失くし、多くの犠牲者が出た。

「欠陥工事だ」「人災だ」といった視点に立つ報道が国外でも流れるや、合弁企業の26%を出資する筆頭株主が「SK建設」であったことから、「やはり韓国は海外でもロクなことをしていない。韓国得意の手抜き工事だ。どうせ韓国企業が裏で汚いカネを動かしたに違いない」「日本の技術の出番だ」といった類の論評が、我が国の嫌韓系メディアから聞かれたものだ。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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