80時間世界一周 (49)

マケイン夫人も“参加”する「地雷除去」の最前線

執筆者:竹田いさみ 2008年9月号
タグ: NATO 日本
エリア: ヨーロッパ 北米

 ここはいったいどんな施設だろう。軍事基地にしては警備が手薄だし、民間施設にしては門構えが極めて閉鎖的だ。敷地内には多数の特殊車両が整然と駐車されており、ボディーの色はすべてホワイトで統一。ならば「国連の施設に違いない」と当て推量してみたものの、国連軍の象徴であるブルーヘルメットをかぶった軍人の姿がどこにもないので、この推理ゲームは振り出しに戻る。 コソボ、カンボジア、アフガニスタンなど内戦や地域紛争を経験した国々に、こうした施設はよく見られる。人口が密集する都市から遠方の辺鄙で、しかも人家から離れた寂しい場所にポツンとある。特徴は、周辺に無数の対人地雷が散布・敷設されていることだ。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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