コロナ禍で結束が乱れる「EU」実態の「虚実」と「真の課題」

執筆者:国末憲人 2020年5月2日
タグ: 新型コロナ
エリア: ヨーロッパ

 

 中国に端を発し、当初はアジア諸国で主に流行するかと思われた新型コロナウイルスは、むしろ欧米で猛威を振るいつつある。死者数は、国別で見る限り米国が最も多いが、欧州各国を合わせた数はそれをはるかに上回る。人口でほぼ等しい英独仏伊西5カ国の死者数は、米国の倍ほどに達している。

 その大部分を占めるのはお年寄りである。欧州はアジアなどに比べ人口に占める高齢者の割合が高く、もともと潜在的な危うさを抱えていた。

 アジアの多くの国は2002~03年にかけて、重症急性呼吸器症候群(SARS)の大規模な被害を経験しており、その教訓から病床や人工呼吸器の配備を増やし、感染症の発生にも敏感になっていた。それに比べ、欧州が油断していたのは間違いない。各国はそれぞれ、感染拡大を防ぐために国境を閉鎖し、苦悩の中で対応に追われている。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長を経て、現在は朝日新聞ヨーロッパ総局長。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など多数。新著に『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)がある。
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